■壁紙・クロスの機能(1)消臭・抗菌・調湿・防カビ ○ニオイを消すタイプと、ニオイを分解するタイプ タバコを吸われる方やペットを飼っているご家庭のほか、トイレやキッチンなどの水まわりには消臭機能の ある壁紙がおすすめです。 消臭機能を持つ壁紙には2つの種類があります。消臭剤を配合したものと、酵素や触媒を利用してニオイを 分解するものです。 消臭剤配合の壁紙は、ニオイを消す力は高いものの、効果が長持ちしません。 ただ、価格は通常の壁紙とほとんど同じです。色やデザインなどが気に入れば選んでもよいでしょう。 ニオイを分解するタイプの消臭壁紙は、ニオイを消す力は若干低めですが、効果が長持ちすることが最大の メリットです。約10年間、長持ちするものもあります。 ○抗菌性の高い壁紙はSVマークを目印に トイレなどには、消臭性のほかに抗菌機能をもった壁紙が適しています。多くの抗菌壁紙は表面に特殊 フィルムが施されており、壁紙に付着した細菌の増殖を抑制します。抗菌性については、 SVマーク(壁紙工業会)の壁紙を選ぶと安心です。 お料理の水蒸気などで、どうしても湿気が多くなるLDKや洗面所などでは、結露やカビが発生しやすくなり ます。調湿(吸放湿)壁紙で湿度をある程度調整したいところです。 調湿性の高い壁紙なら、室内の湿度が上昇すると壁紙が湿気を吸収し、低下すると湿気を放出するので、 湿度が安定します。 調湿性の高い壁紙の代表的なものが、紙壁紙や珪藻土壁紙などの自然素材の商品です。 しかし、壁紙だけで得られる調湿機能には限界があります。下地に厚めの石膏ボードを用いると調湿機能 が高まります。 ○カビを防ぐ壁紙もSVマークを目印に 湿度の高い部屋は、カビが発生しやすくなります。カビが壁につくと見た目に悪いだけでなく、胞子に部屋を 舞ってアレルギー症状を引き起こす原因にもなります。 防カビ加工処理を施した壁紙を選びましょう。防カビ壁紙についても、SVマークの壁紙を選ぶと安心です。 ※SVマークとは壁紙工業会が制定した壁紙安全品質基準です。安心して使うことのできる壁紙の提供を 目的として制定した自主規格です。 ■壁紙・クロスの機能(2)汚れ防止・キズ防止・撥水 汚れ防止機能を持った壁紙 キッチンやリビング、子ども部屋など、汚れやすい部屋では、汚れ防止機能を持った壁紙がおすすめです。 汚れ防止機能の高い壁紙を使うと、飲食物や油の汚れ、クレヨンなどを中性洗剤などで拭き取ることができ ます。また、油性マジックもアルコールなどで簡単に拭き取れます。 防汚性の基準としてはSV協議会(壁紙工業会)が、次の5段階で性能を定めています。 カタログなどでチェックしてみましょう。 ■コーヒーなどを付着させ、24時間後に拭き取った結果で判定 1級 : 汚れが濃く残る 2級 : かなり汚れが残る 3級 : やや汚れが残る 4級 : ほとんど残らない 5級 : 汚れが残らない ○キズに強い表面強化壁紙 何かの拍子に物を壁にぶつけてしまったり、お子さまがオモチャを振りまわしているうちに壁にぶつけたり することはよくあります。犬や猫を飼っているご家庭では、ひっかきキズだらけ、というところも多いでしょう。 そんなご家庭では、表面強化壁紙をおすすめします。多くの表面強化壁紙は、表面に強度の高いフィルム を張って加工して作られています。SV協議会(壁紙工業会)では、引っかき試験での傷つき度合いで表面 強化壁紙の性能を判定しています。購入の際はカタログなどで、ご確認ください。 1級 : 表面が破けて紙等の裏打材が見える(長さ1cm以上) 2級 : 表面が破けて紙等の裏打材が見える(長さ1cm未満) 3級 : 表面が破けて見える 4級 : 表面に少し変化あり 5級 : 変化なし ○撥水性の高い壁紙や、マイナスイオンを発生する壁紙も 壁紙の表面に特殊樹脂加工などを施し、水をはじく壁紙もあります。 この壁紙は、サニタリーなどの水まわり空間に適しています。汚れがつきにくく、お手入れが簡単になると いうメリットがあります。 また、リビングや子ども部屋、書斎などにはマイナスイオン壁紙をおすすめします。この壁紙は天然鉱石を 表面に配合しており、マイナスイオンを発生させ、心身をリラックスさせる効果があります。 その他には、ホームシアタールームに適した防音壁紙などがあります。 ■壁紙・クロスの機能(3)シックハウス予防 シックハウス症候群を規制する壁紙 シックハウス症候群とは、新築やリフォームのときに使われた化学物質によって引き起こされる病気です。 壁紙などの内装材にも、かつては化学物質が使われていましたが、今では建築基準法によって規制され 安全性の高い壁紙が普及しています。 ホルムアルデヒドも、規制の対象となっている化学物質のひとつです。ホルムアルデヒドの発散量を示す 基準としては、JIS(日本工業規格)が4段階で定めています。 F☆☆☆☆(フォースター)は、放散量が少なく、ホルムアルデヒド等級の最上位規格を示すマークです。 F☆☆☆☆と表示されている建材や内装材だけが使用面積が制限されません。 F☆☆☆(スリースター)やF☆☆(ツースター)になると条件 付きの使用や使用面積が制限され、F☆のものは内装材としての使用は禁止されています。 購入の際は、カタログなどでチェックしてください。 また、2007年に日本壁装協会が定めた基準として「ISM壁紙※」が普及しつつあります。 これはホルムアルデヒドをはじめ、あらゆる化学物質の発散を最小限に抑えた壁紙です。 安全で健康的な室内環境を考えるならISMマークを選択の目安にする方法もあります。 化学物質の使用を制限する規制としては、ドイツのRAL(ラル)基準も有名です。RALは、ドイツの壁紙 メーカー14社で設立した壁紙品質保証協会とRAL(ドイツ品質管理・標識協会)が、1990年に作成した 壁紙の安全基準のことです。健康面、環境面などに多岐にわたって配慮しており、既存のヨーロッパ 標準規格を上回る品質検査規定として知られています。 RALマークを目印にしてください。 ※ISM(インテリア・セーフティ・マテリアル 略称 イズム)壁紙とは、日本壁装協会(旧 壁装材料協会)が 定めた自主基準。「生活環境の安全に配慮したインテリア材料に関するガイドライン」のこと。 ○自然素材を原料とした壁紙 自然素材やリサイクル素材を使用した壁紙には、おなじみの「エコマーク」がついているものもあります。 また、非木材グリーン協会(NPO法人)が認定する「非木材グリーンマーク」もあります。 森林資源を節約し、CO2を吸収する非木材を使用する壁紙にマークがつけられています。 たとえば、ケナフ、タケなどを材料にした非木材壁紙が普及しつつあります。 ■壁紙・クロスの機能(4)不燃性・ボーダー・蓄光壁紙 命を守る不燃性の高い壁紙 コンロの消し忘れやタバコの不始末などで、家のなかで起こる火事。火を出さないように気をつけることが 最も大切ですが、万一、火事が起こっても燃え広がない内装材を選ぶことも重要です。 建築基準法によって内装制限を受ける場所には、防火性能の高い壁紙が使用されます。 住まいのなかでは火を使うキッチンが該当します。 防火性の高い壁紙は「燃えない壁紙」ではなく、「燃えにくい壁紙」です。 燃焼の拡大を防止し、煙や有害ガスの発生を防止することにより、消火や避難時間を確保することができ ます。 防火性能は、「不燃」、「準不燃」、「難燃」3段階に分かれます。不燃は20分間、準不燃は10分間、難燃 は5分間、加熱しても燃焼せず有害な煙を発生しません。ただし、防火性能は壁紙だけではなく下地との 組み合わせで決まります。同じ壁紙でも下地の性能によって防火性能が異なるのです。 下地も壁紙も防火性能が高いものにして、大切な命や住まいを守りましょう。 ○お部屋のアクセントなるボーダー(トリム)壁紙 お部屋のイメージを決めるうえで、壁紙選びは重要です。白や淡い色の壁紙を選んだ方が無難にまとまり ますが、「それでは物足りない…。でも、派手過ぎるのもちょっと…」という方もいらっしゃると思います。 そんな時は、ボーダー(トリム)壁紙と呼ばれる帯状の壁紙をおすすめします。これは窓枠の下や高さ 70〜100cmのライン沿って張る壁紙で、花柄や、動物柄、天使柄、幾何学模様など、さまざまな柄があり ます。シンプルな壁面でもアクセントとして使えば変化がつき、個性的な部屋になります。 ボーダーの上下を振り分けて、壁紙の色を変えるという、おしゃれな張り方もあります。 その場合は下部分を濃い目の色にして、上部を薄い色にすると、安定感が出ます。 ○照明を消すとプリントが光る蓄光壁紙も 子ども部屋などでは「蓄光壁紙」はいかがでしょうか。この壁紙は、表面に特殊な塗料で柄がプリントされ ており、太陽や照明の光を蓄えます。照明を消して、お部屋を暗くすると、数十分間、ほのかに光って浮き 出てきます。柄は、星、乗り物、動物など、いろいろバリエーションがあり、幻想的な空間に なります。 |